スウェーデン・オンブズマン調査員 ジェニー・オラウソンさん講演記録

医療と福祉

スウェーデンにおいては、このような考え方というものが、社会福祉政策の中にあるのが伝統で、
それが、例えば、社会サービス法とかLSS法とか、保健医療法とか、アシスタント法とかというような
一連の法律によって社会に浸透しています。

ここで私は、その法律がどのように変わってきたかということをお話したいと思いますが、それで、
私が最初に述べました、障害者に対する政策の変化ということについての話ということにしたいと思います。

知的障害者という定義について言うと、定義というものが明記された最初の法律というのが、
いわゆる権利法というのが1955年にできました。
それが1967年になりますと援護法というものになりまして、いろいろなサービスというものを障害者が持つ権利として
提供しなければならない、というように規定されるようになりました。

で、1984年になりますとそれが新援護法という形になり、日常活動やグループホームでの居住が権利として
明記されました。

この84年に出来た新援護法というものが一つの大きな基盤になり、1994年にLSS、日本語で言いますと
「機能障害を持つ人に対するサービス援護法」という法律が出来、知的障害を持つ人だけではなく、
自閉症や自閉傾向を持つ人達、或いは交通事故などで成人になってから長期的な脳障害を持つことに
至った人達をも含めるというようになりました。

84年の新援護法によって入所施設が解散することになりますが、
94年のLSS法では、その日程が決められて、今年の12月31日をもってスウェーデンには入所施設というものが
なくなります。

今までのことをまとめてみますと、私たちの社会政策の目標というのは、社会生活を送るということにおいて、
障害を持つ人が完全に参画をしていくということ、それが完全に平等ということ、それが個人のニーズに基づく
ということです。

このLSSの対象となる人というのは、先ほども申し上げたように、
知的障害を持つ人達、自閉的な傾向がある人、成人期になっていろんな事故や病気などで脳障害をもった人達、
65歳以下で老人病でない原因で、日常生活をおくるのに不自由を感じる人達全て、それから、
長期的な精神障害を持っている人達、そういうのがこの法律の対象者です。

これは一つの権利法です。
権利法ということはつまり、そのサービスがもらえない時は訴えることが出来るという事です。

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