スウェーデン・オンブズマン調査員 ジェニー・オラウソンさん講演記録

医療と福祉

スウェーデンには、司法オンブズマンの他にも、
平等オンブズマン(男女平等に関すること)、
消費者オンブズマン、
児童オンブズマン(子どもに関すること)、
差別オンブズマン(人権に関すること)、
障害者オンブズマン、というものがあります。

司法オンブズマン(日本語で議会オンブズマン)は、議会によって選ばれる人ですが、
この他の5つのオンブズマンというのは政府によって任命されている国の機関です。

オンブズマン同士の間では、この一つの問題が他の部分に重なることもあるものですから(例えば、子どものことで
あるとか平等のこととか)、そういう重複するような問題は他のオンブズマンと一緒に検討したり、或いは、
より適切な方にその問題を回したりすることもあります。

なぜ1994年に障害者オンブズマンというものが設けられたかというと、他のオンブズマンの分野でもそうですが、
機能障害を持っている人達というのは、色々な差別受けたりすることがあるからです。

もう一つの大事な理由の一つは、国連の基準規則というものがスウェーデンで守られているかどうかを
監視するためです。

国連の決議が出された時も、専門委員会では、特に子どもで機能障害を持った人達、或いは男女関係のこと、
それから精神的な障害を持っている人達の為の状況が1997~2000年の内に改善されるように強く要望しました。

その為に1994年に障害者オンブズマンが設置された時には、特別に機能障害に対する問題が解決される為に、
スウェーデンの国家予算の中に1998年度、1999年度予算の中に特別予算案というのが組み入れられました。

障害者オンブズマンの役割の第一次的なものは、機能障害を持つ人達の権利、それから利益、関心を見守ることです。
目的は、機能障害を持つ人達が社会において完全に参画していること。
それと完全に平等であること。
それらのことを、法律と見合わせてそれが損なわれている場合に、障害者オンブズマンが出てくるわけです。

障害者オンブズマンは、国一つの機関で6年の任期を持っています。
オンブズマン局には10人の職員がいて、10人のうち5名が法律関係の専門職の人達です。

人数は少ないのですが、この人数が少ないために色々な専門職の方々と全国的にわたって連結しながらその働きを
担っています。

その他に障害者オンブズマンの周りには、評議会、協議委員会というものがあります。
特別な役割を持たないし、運営にも関わりません。また、これは団体の加盟ではなく、個人の資格で参画しています。
機能障害を持っている人達の権利を守り、差別をなくするためには、当然、いろいろな役割が必要です。

ここで、一つオンブズマンの仕事の中の中心的な、実際の仕事である「届け出」について説明します。
この届け出が出るというのは、つまり、苦情が出ているということです。
苦情の届け出を受理しますが、昨年は149件あり、半数は改善されました。
これは国にとって非常に大事なことで、この苦情を届け出によって、
もし法律に欠陥があるのなら、何がどういう欠陥があるのかが分かる訳です。

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