もっとウォーカーを皆様に知ってほしい。
そのような思いから、この記事では実際にウォーカーを使った活用事例をご紹介します。
1.目的
- みんながいきいき歩けるようになること
- 入院患者が歩けるようになって自宅に帰っていく
- ウォーカーがそのひとつの助けとなるために
2.対象者の現状
対象者 / 80歳 女性 要介護1
- 右膝に常時しくしくとした痛み
- 歩く時にやや膝をひきずり、少し左右に揺れて歩く
- 1回に続いて歩ける時間は5分程度
- その他の症状:
- 右手の中指、薬指、小指が拘縮、動かすと痛い
- 短期記憶障害、見当識障害
- 昼夜逆転することが多々ある
- 怒りっぽい、意欲がない、食欲があまりない
3.実験
以下の条件で対象者にウォーカーを利用してもらいました。
期間 / 2月20日~4月26日
実験方法 /
- 毎日室内または戸外で最低30分歩く
- 時間、距離を徐々にのばす
- 身体の動きやすさ、気持ちの変化を観察

2月20日
検査入院中。
なぜ病院にいるのかわからず不安でベッドから出るのが怖く、歩けない。

2月25日
退院後、昼夜逆転。
昼間起こしても、すぐにまた眠ってしまう。
やりたいことがなく、起きる目的がない。

3月1日
トレーニングを始めて5日目。
以前は好きだった自宅近くのレストランにやってきたが、笑顔がない。

3月5日
外に行ってみようかな、と自分から言い出した。

3月10日
まだ笑顔はないが、室内でウォーカーを使用して歩くことにだいぶ慣れてきた。

3月10日同日
だんだん歩く時間が長くなり、今日は戸外で30分歩いた。
少し疲れたようだが、食欲が出てきた。


4月6日
ウォーカーがあればエレベータもふらつかず、安全に乗り込める。

4月16日
ぽかぽか陽気。散歩に行こう、歩かないとダメよ!と自分から言い出す。
久しぶりの大きな笑顔。

4月24日
テレビのコメディアンの真似をし、踊りながら歌う。
以前の陽気さが戻る。

4月24日同日
夕方突然、「そろそろお米研いで、お味噌汁も作らないと」と言い、久しぶりに料理をする。

4月26日
おしゃれをし、お化粧もしてレストランへ。
食欲が出て、パスタを一皿全部食べた。
次回は、ピザを食べたい、と次の目標も出来た。
4.結果
ウォーカーを利用することで、対象者に以下のような症状が表れました。
- ウォーカーを使うことで、安心してたくさん歩けた。
- 少しづつ歩く時間が伸び、4月26日時点では、30分、休みなしに歩けた。
- 近所の人との交流が増えた。
- 気分が前向きになった。
- 意欲、負けん気が出てきた。
- おしゃれをして出かけたい、と言うようになった。
- 同じ話を繰り返すことが減った。
- 最初は、運動のためにウォーカーを使って歩いていたが、現在はやりたいことをするためにウォーカーを使い、自然に歩くようになった。
5.考察
実験を通して、以下のことが分析できました。
- 誰かにしてもらうよりも、自分で行きたいところまで歩く人に何かを教える(料理など)、やりたいことをする(図書館で本を借りる)それができれば、もっと元気に、前向きになれる。
- ウォーカーを使って安全になるべくたくさん歩くことで、今の身体の状態をできるだけ維持。
- 心を動かすためのモチベーションが上がる。
6.感想
終了後、対象者は以下のような感想を述べました。
- コーヒーショップに毎日午後に行く
- 毎朝植木に水やりをする
- おいしいものを友人と食べに行く
- たまにはバーにお酒を飲みに行く
- 仲間と集まっておしゃべり、おしゃれ、お化粧を楽しむ
- お食事を楽しむために、見た目もすてきなウォーカーを持ち寄って歩く
弊社は今後も具体的な楽しい目標を実現するためにウォーカーを役立てたいと考えています。
今回の実験は、対象者とご家族にご協力いただくことで実現することができました。
ありがとうございました。